【意味が分かると怖い話】輝け
中学入ってすぐの頃、クラスのリーダー格に声をかけられた。
「お前はもっと輝く必要があるよな。なあ輝けよお前」
なんだかよく分からないが特に反対する理由もないので「そうだね」と答えた。
リーダー格男は「よし!」とばかりの笑みを浮かべクラスの輪の中に消えていった。
その日からそいつの友達が「輝け!」「シャイニングだ!」
「シャイン!」だの声をかけてくるようになった。 やがてその奇妙な習慣はクラス中に広がり。
俺はクラスの皆に輝け輝け言われるようになった。 それまで引っ込み思案で友人も少なかった俺は照れくさくも嬉しかった。
ついに学級会で「○○君は輝いたほうがいいと思います」というネタ半分議案が出され、
そして全員賛成で可決されるにまでなった。 担任は「まあ、お前がいいんならいいんじゃないの」と、はにかんだように笑っていた。
この先生は孤立気味だった俺のことをずっと気にかけてくれていたんだ。 そしてクラスの皆がそれに答えた。
なんてやさしいクラスだろう。なんていいクラスだろう。
俺の持ち物にはシャーペンの一本にまで皆が「輝け」と書いてくれた。
書道で書いた書初めには、クラスで一番可愛い女子が家からわざわざ筆ペンを持ってきて
俺の名前の上にハートマークとともに「シャイニング!」と書いてくれた。
その習慣は三年間で学年中に広がり、三年の頃には見知らぬ下級生までもが 「あ、輝いてる人だ」などと指差してくるようになった。
そして青春の日々はあっという間に終わり、 俺は卒業式の今日、家に帰って卒業アルバムを見ている。
懐かしく思い出す青春の日々、輝いていた思い出、 かけがえのない仲間たちによる寄せ書きコーナー。
そこには三年間付き合った、いつもの文字が、一人ひとりの筆跡で並んでいる。
「Shine! Shine! Shine! Shine! Shine! Shine! Shine! Shine!
Shine! Shine! Shine! Shine! Shine! Shine! Shine! 輝け!」