【意味が分かると怖い話】念写
10~15年先の未来を念写できるという、世界でも有数の霊能力者がどういう訳か私がクラスを受け持つ小学校へとやってきた。
ただで念写してくれるとのことなので、私の受け持つ5年生の生徒たちの写真を撮ってもらった。
恐ろしいことにどの写真も明瞭に写っており、霊能力が本当にあるだなんて!と嬉しいような怖いような気分になった。
ただやはり写る状況も年代もバラバラらしく、成人式の姿が映る子もいれば某有名大学院博士課程の入学式の姿が映ったなんて子もいた。
そんな中一人怪訝な顔をしているAちゃんがいた。
「どうしたの?」と私が声をかけると、
「せんせー、変なの。私の写真ね、6年生の腕章つけて校舎裏の木の下にいるの。ほら、髪型も顔も格好も全然今と変わらないんだよ?どうしてなんだろう。」
見れば、たしかに校舎裏の桜の木の下に葉桜と共に立っているAがいた。
たしかにAの言う通り、地区のリーダーの6年生に与えられる腕章を着けている。
それを見た霊能力者は苦々しい顔をしてAに耳打ちをした。
するとAは顔を真っ赤にしてコクンと頷いた。
今にも泣きそうな顔をしている。
霊能者は言う。
「この未来には可能性が2つある。しかしそのどちらもこの子を不幸せにする。ならばせめて希望がある未来になるよう、少しだけおせっかいを焼かせてもらうよ。」
彼の凍るような目つきは今でも忘れられない。
季節は冬の終わり、別れと桜の季節はもうまもなくであった。